臭、ほこり積もり 専門学校生らが見た過酷な現実 

東日本大震災:異臭、ほこり積もり 専門学校生らが見た過酷な現実 /千葉
毎日新聞 4月8日(金)11時15分配信
 ◇横たわるお年寄りたち 姉妹から感謝の手紙も--気仙沼でボランティア、専門学校生ら
 異臭が鼻を突く。横たわるお年寄りたちの毛布に、見たこともない厚さのほこりが積もっている--。東日本大震災で被災した宮城県気仙沼市の避難所を千葉市の医療系専門学校の学生と教員計40人が訪れ、3泊4日でボランティア活動を行った。「避難所は明るさを取り戻した、という報道は一部しか見ていない」。教員の一人は毎日新聞にファクスで意見を寄せた。彼らが見た現実を知ろうと、私は専門学校を訪ねた。【味澤由妃】
 気仙沼市を訪れたのは千葉市中央区の国際医療福祉専門学校の学生らで、救急救命士や理学療法士を目指して学んでいる。3月29日朝に気仙沼入りし、31日まで活動した。
 「思ったより暗く、音がしなかった」。救急救命学科2年の小池智尋さん(19)は、避難所の気仙沼市民会館の第一印象を語る。お年寄りばかりが多数床に横たわる。1人分のスペースは畳1枚ほどで、ついたてはない。
 震災から2週間。立ち込める異臭に慣れてしまった避難者たち。「一瞬引いてしまった自分がいた」。どこか部外者を拒否する空気が漂っていた。
 小池さんたちは体操を手伝う計画を急きょ変更。室内を換気し、環境の向上に取り組んだ。「毛布をたたきますよ……」。遠慮がちに声を掛ける。付着するほこりは信じられない厚さで、過酷な現実に圧倒されてしまった。ほこりを払った手で目をこすり、目に腫れ物を作った教員もいた。
 小池さんは、夫を震災で亡くしたという80歳近い女性から「避難所の中にいると頭がおかしくなる」と訴えられた。「救急救命だけではなく、いろんな知識がないと対応できないと思いました」。無力感に襲われた。
   ◇  ◇
 気仙沼市の鹿折(ししおり)中学校体育館の避難所で、小池さんと同級の宇佐美諒さん(19)は「困っていることは?」と被災者に尋ね、「家もない。仕事もない。お金もない」と言われた。「自分は一体何を聞いているのか。頭が真っ白になった」。リウマチと乳がんを患う60歳代の女性からは「薬が3日分しかない」と訴えられた。病院は徒歩2時間半で、行ける体力はないという。
 避難所を去る時、高1と中3の姉妹から、泣きながら手紙を渡された。手紙はハート形に折られ、こうあった。「みんな(学生たち)が体育館を明るくしてくれた。今度は私たちが明るくしたい」。帰ってきて「自分たちは、彼女たちにそこまで何かをできていたのか」と考え込んだ。
   ◇  ◇
 「あなた方はすぐ帰るんでしょ」。不信感をあらわにする被災者もいた。理学療法学科の両角昌実学科長(45)は「長期間滞在し、信頼関係を築く必要がある」と話す。
 一行のリーダー、増茂誠二・救急救命学科長(43)は、津波で被災した70代の女性の「あの時自分が手を離さなければ……」という言葉を聞き、絶句した。家で柱にしがみつき、足が不自由な夫の手を握った。だが、水圧に負けてしまった。娘夫婦も孫も失ったという。
 「災害の急性期が終わり、医師や看護師だけではなく、衛生面や心のケアなどまだまだ足りない人だらけだと実感しました」
   ◇  ◇
 ハート形の手紙を学生たちに託した姉妹から、学校にお礼のハガキが届いた。最初にこうあった。「お元気ですかー」

4月8日朝刊

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