「食料を!」院長の叫び

「食料を!」院長の叫び

145人入院の病院 栄養失調で患者危篤に


食料品や生活用品を求めて並ぶ市民ら(15日、仙台市青葉区で) 取材を始めて3日目の15日は、食料品店などの開店状況を調べた。仙台市青葉区内を歩くと、店舗はぽつぽつと営業を再開していた。ダイエー仙台店では、連日1000人を超える市民が並び、店員が整理に追われていた。

 「商品は品薄となっています。10点まででお願いします」。別の量販店では、看板を掲げた男性店員が大声をあげていた。買い物客が次々に尋ねる。「カイロは?」「オムツは?」。店員は「普段なら茨城県から商品が来ますが、向こうも被災しています。不定期営業しかできません」と苦しげに話していた。

 個人商店も再開し始めていた。卸売り青果店「フレッシュストア」をのぞくと、品物は全て売り切れていた。夫と店を切り盛りする須藤律子さん(66)は朝、仙台市の中央卸売市場で、段ボール5箱分の野菜を仕入れ、店に戻って荷を降ろしていると、人々が並び始めたという。普段は病院や学校などが主な販売先だが、「目の前の困っている人たちに、売らないわけにはいかないと思った」と言う。

 須藤さんが野菜を仕入れた中央卸売市場は、若林区にある。市場は地震発生翌日の12日には相対取引を再開していた。市場関係者によれば、入荷は普段の3~5%、買い手も2、3割しか訪れず、せりを開ける状態ではない。

 ただ、野菜の在庫はあった。「通信と交通手段がある程度回復すれば市場は動く。ぜひとも現状を報道し、改善につなげてほしい」と求められた。

      ◇

 この夜、本紙の東北総局(仙台市)に「入院患者ら230人が餓死寸前の病院がある」との通報が、宮城県内に友人がいるという大阪市内の人から入った。すぐさま、仙台市から南約20キロの柴田町にある仙南中央病院に向かった。停電した暗がりの中から、鈴木健院長が現れた。

 鈴木院長によると、病棟の3分の2が地震で使用できなくなり、体育館に移った患者数人が、栄養失調で危篤状態に陥っていた。

 同院は精神科の専門病院で、重度認知症を患う高齢者ら入院患者145人と約80人の医師、看護師らがおり、奇跡的に無事だったが、食料備蓄はわずかで、1食おにぎり1個で過ごしていた。13日朝には食料が底をつき、軽度の合併症を抱える患者が危篤になった。

 「このままでは死人が出る」。鈴木院長は14日、インターネット掲示板で「食料がない。助けを!」と呼びかけた。すると近隣住民や企業から米や野菜、飲料水など1、2週間分が届き、なんとか持ち直したという。

 鈴木院長によれば、同院だけでなく、近くの住民も川から生活水を確保する過酷な状況だった。(鷲尾龍一)

食料品や生活用品を求めて並ぶ市民ら(15日、仙台市青葉区で)

(2011年3月28日 読売新聞)

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