スティーブ ゼルツァー 「ある日の福島」


日本と米国政府は原子力産業と一体となって福島第一原子力発電所メルトダウンの解決策としての「汚染除去」を推進している

ある日の福島
文責 スティーブ ゼルツァー

最近のことだが、福島のある母親に対し医師が「子どもが癌にかかる可能性は100人に1人だ」と言ったが、これに対し彼女は次のような行動に出た。この母親は、子どもたちの内の2人の喉に3ミリの甲状腺嚢腫が発見されたため、子どもたちを山形に避難させたのだ。彼女が言うには、100人中1人ではなく、私にとっては1人中の1人なのだ。
これは、東京電力、日本政府と米国政府、国際原子力機関(IAEA)が3基の福島原発メルトダウンを「克服できる」と人々に信じ込ませるため大々的なプレス・キャンペーンを行っているために福島の人々が直面させられ、ずっと続いている悪夢の典型だ。
「克服できる」というのは、仙台市議会のために奔走するある政治家が昨年実際に発した言葉だ。仙台はメルトダウンした原発から約60マイルの距離にある。

先週、私はこの計画がどのように行われているか確かめるため福島市へ行った。

「正常化」の見せかけと、この地域で事態は改善している、と日本の民衆に信じこませようとする国家あげての努力にもかかわらず、現実はそうなっていない。
2012年10月28日小雨が降った後、我々は住民や食物の汚染を調べる市民試験センターを訪れた。

我々は検査を行った結果、雨に濡れた頭や肩の方が、体の他の部位より放射能値が高い、ということがわかった。

責任をあいまいにしようとする動きが更に加速化している。メルトダウンした原発から4マイル(7キロメートル)ほどの地域に住んでいた住民は、「除染され放射能値が十分低くなったので、家や仕事に戻れ」と言われ、補償を受け取る権利すら奪われそうになっている。林文夫は、サラリーマン生活を終えた後福島第一原発から4マイル(7キロメートル)離れた浪江町でレストランを買い取ったが、現在は秋田に避難している。彼は補償要求を取り下げ、浪江町に戻るよう政府から脅されている、と語った。

汚染地区のレストランに行く客がいるだろうか?そんなことは、この地域を「正常化」したい政府高官にとってはどうでもいいことだ。

10万人以上の住民が避難させられたが、30万人以上の子どもたちやその他の人々が今も汚染地域に放置されている。

政府は、メルトダウンした原発から20キロメートル(12マイル)以内の住民でなければ、避難への補償をしない、と言っている。

福島診療所が設立され、12月1日に開くことになっている。この診療所は、放射能被曝と癌の危険にさらされながら避難することができない住民を検査し、治療を行う。検査した子どものうち35%以上が甲状腺嚢腫を持っている。命が危険にさらされる度合は更に増していくだろう。

福島の子どもたちの母親は、政府のお抱え医師らによって、健康への危険なサインを低く見せるよう圧力を加えられた、と報告している。椎名千恵子はこの診療所建設運動の主催者であり、「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」のリーダーだ。彼女は福島市の近くで有機農業を行う農民であり、日本における1971年安保闘争の活動家だった。日米安保条約は、何十万人もの学生や労働組合の闘争課題だった。安保条約によりアメリカ政府は核兵器を含む軍隊や艦艇を日本に駐留させている。

椎名さんは、この7月カリフォルニアツアーを行い、原子力発電所閉鎖の運動への支援が高まっているディアブロ(悪魔の)峡谷およびSan Onofreの住民に会った。
彼女は、自分も含め福島の人々が直面している健康問題の深刻化について報告した。
彼女たちは、汚染が進行する中、発疹、頭痛その他深刻な健康問題を抱えている。
これらの母親たちの多くは東京の中心にある首相官邸に毎週金曜日抗議行動を行い、経産省前にテントを張って抗議行動を続けている。
http://www.clinic-fukushima.jp/english/

我々が福島第一原発から南へ約75マイル下ったところにあり、同じく汚染されている水戸市を訪れている間に又マグニチュ-ド6.0の地震があった。我々が会話した住民によれば、地震は毎日あるそうだ。

動労水戸の労働者たちが、6か月も汚染地域に放置されていた汚染車両での仕事を命令された時JRにストライキを叩き付けたのも、ここ水戸だった。

東電は事実上破産してからも政府の財政支援を受け、最初のメルトダウンを隠ぺいした当人たちが今も東電の経営を行っている。

この地域を「除染」し、補償するためには10兆円かかるだろうと言われている。
東電によればこれには「住宅を洗浄する」費用も含むそうだ。
しかしながら、避難民に対する資金のほとんどは日本の大政党と結びついた請負業者に流れてしまう。

東電は、更に国立福島大学を強力に支配している。この大学は原発推進派の「専門家」を学校に引き入れて講義させ、学生たちが原発の内部告発者を招こうとすると、東電や国際原子力機関(IAEA)と結託する大学当局は彼らの発言権を封殺した。また大学側はアメリカの戦略国際問題研究所(CSIS)まで大学に引き入れている。

福島の住民は、さらに政府側の医者が統計と記録という自分たちに必要なデータだけ取る一方、子どもたちの治療は拒絶する、ということについてたくさん話してくれた。

核爆弾による放射線の犠牲となった日本の歴史は、悲惨だ。
広島と長崎に核爆弾を落とした後、米国は、放射線疾病の存在を否定した。このため人々は真の治療を受けるため自力で地域に病院をつくらなければならなかった。

仙台では、母親たちにインタビューした。彼女たちは、東北電力が学校で子どもたちに配っている色刷りのパンフレットを持ってきた。この色刷りのパンフレットは、原子力が日本のエネルギー源の一つであり、日本の人々にとって低コストのエネルギーである、とプロパガンダを行っている。

福島県より北側にある東北電力女川原発も、会社が如何に地震に備えて来たかを宣伝するパンフレットを配っている。その中の写真の1つは、地震が来ても制御室のハンドルを動かすだけで大丈夫、というハンドルの取っ手の写真だった。

いい加減な話をするな。

同じ東北電力の丘の上にある原発PR施設では、原子力が魚や野生生物と共生できることをアピールする、子ども絵画展が行われていた。

表土を取り除くことができるし、そのことで地域は再び浄化される、というプロパガンダが行われている。地域に入ってくるお金の多くは、もちろん、避難したいと思っている住民にではなく、請負業者と下請け業者に流れて行く。

韓国のあるテレビ局でも、福島の学校敷地が除染されたが、その後の試験でも放射性物質が高い水準にある、という批判的リポートがなされた。政府から安全な学校として除染完了を認められたあとでの計測をした結果、表土を取り除いても学校が「除染」されていない、ということにテレビのドキュメンタリー・チームは気付いた。

3回の汚染された水素爆発とメルトダウンで放出されたセシウムや他の放射性物質は、地域と世界を汚染し続けている。美しい福島の森林や野原の至る所に広がる雨は、セシウムや危険な毒物を海や東京湾に流し込み、高濃度の海洋汚染が認められている。

CSIS(元ブッシュの顧問だったリチャード・アーミテージに支援された右翼シンクタンク、戦略・国際問題研究所)が除染戦略の開発に参加している。国の至る所で多くの「教育」講習会を行い、災害はコントロールされており、地域は「除染される」ということを信じこませ、安心させようとしている。

2012年3月22日に、CSISエネルギー国家安全計画は、東京でパネルディスカッションを行った。アメリカの核兵器産業に非常に厳しい態度を示していたGregory Jaczko議長を排除するため新しくNRCにコミッショナーとして参加した原発推進主義者のWilliam Magwoodがこれに参加した。

更に、今ある原発を再稼働する計画が進行していることについて人々を安心させるための原発推進教育講習会が日本国中で予定されている。彼らは福島を除染と経済再建のための震災特区にする、という戦略計画を展開した。東北はまた、津波などで壊滅した市街の再建を含む大規模投資のせいで、日本で最も急成長している地域だ。

私が福島にいた同じ週、政府は、原発のど真ん中に活断層が走る大飯原発の再稼働を認めた。多くの人々が以前に指摘したように、カリフォルニアと同じく日本は太平洋の環太平洋火山帯上にあり、規則的に地震におそわれる。サンディエゴの近くの危険な原子力発電所San Onofreは放射能漏れで現在停止している。しかしNRC、南カリフォルニア・エジソン、カリフォルニア公益事業委員会は再稼働をねらっている。どんな原発も安全だ、という考え方はまったく現実に反する。しかし原子力産業は日米両政府をコントロールし、原発稼働を推進し続けている。

日本では、与党民主党も、自民党やそれと結ぶ公明党(公明=クリーンな政党?)が原発を合法的なエネルギー源として旧態に戻そうとしている。

同時に、日本最大の労働組合、連合はアメリカのAFL-CIOと同じように原発を支持し続けている。実際、連合は、現政権に何人も大臣を送り、日本全国にある50の原子力発電所の再開を完全に支持している。

さらに、連合は、危険な放射能作業への訓練もなく、多くの場合適切な防護措置もなく、福島原発に派遣される何万人もの非契約労働者の継続的な汚染の問題についても完全に沈黙してしまっている。これらの労働者は適切に登録されてもおらず、この仕事のおかげで癌や他の疾病にかかっても、適切な医療や補償を得られないだろう。

政府は被曝許容量を年間100ミリシーベルトから250ミリシーベルトに引き上げた。

さらに、多くの原発内部告発者が、福島原発や日本中、世界中の原発で系統的な健康・安全問題を暴露したために、原発関連機関から報復を受けている。

すべての新しい建築物でソーラーパネルを使う突貫計画など全然考えられてもいない。また、民間の電力会社は、民衆の怒りと抗議の声が高まっているにもかかわらず再稼働を推進している。
東京では、首相官邸前や他の政府の建物に毎週集団抗議行動が行われている。しかし、ほとんどのメディアが企業にコントロールされているため、この抗議行動はあまり知られていない。

日本は、さらに瓦礫処理のために県を買収し、モンゴルに汚染瓦礫を輸出し、更に原発を世界中に売り込むためメディアをフルに使っている。

11月8日、IAEA長官天野 之弥(ゆきや)は、原発は「現在2011年の前により安全だ」などと発言した。彼は、中国、朝鮮、インドおよびロシアへの原発の拡大を支持している。

さらに、日本原子力機関は、トラブル続きに悩まされている福井県敦賀市の高速増殖原型炉もんじゅの再開も計画している。

しかしながら、現実を直視すれば、日本でもう一度又はそれ以上のメルトダウンが起こればこの国はつぶれてしまう。菅前首相からは東京からの避難計画さえ出されていた。
彼はメルトダウンした原発から175キロメートル(108マイル)の人々を避難させたかったそうだ。

私が日本にいた間、菅はモーニングバードというテレビ番組で、彼が全原発の停止と適切な避難計画の実施を要求した途端、原発関連機関や企業の側に立ったメディアから、彼を首相の座から降ろせ、という報復があった旨主張していた。

彼の排除について果たしたオバマとアメリカ政府の役割も、多くの人々によって公然と認められている。オバマがペコペコ頭を垂れるアメリカ原子力産業も、日本の全原発を未来永劫閉鎖することは産業への痛撃になる、という激しい危機感を抱いた。アメリカは日本の原子力産業とともに、日本と世界の人々に損失を与え続ける原発の維持について主要な役割を果たした。

政府、メディアおよび原子力産業はこの恐ろしいシーンをきれいに見せかけようとしているだけだ。彼らの間での継続的な共謀、癒着は系統的で、何も変わっていない。

レイバー・ビデオ・プロジェクトによって制作されたドキュメンタリービデオ「福島、二度と再び」は福島の母親たちや労働者、当初から破局の現実性を指摘していた専門家たちの声を集めている。
http://www.youtube.com/watch?v=LU-Z4VLDGxU

スティーブ ゼルツァーは労働問題ビデオの制作者であり、パシフィカ・ネットワークのKPFAラジオに属するジャーナリスト兼プロデューサー。
彼は、「福島の母親たち」というドキュメンタリーに取り組んでいる。
連絡先は
lvpsf@labornet.org

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