幹部監禁、受難の外資企業 仏で多発 リストラ不満の労働者


2009/4/7
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フランス・グルノーブル(Grenoble)の米建設機械大手キャタピラー(Caterpillar)の工場で、解放されたあと、従業員にもみくちゃにされながら車に乗り込む工場長(2009年4月1日撮影)。

 フランスの企業幹部は今後、オフィスに肌着と歯ブラシを常備した方がよさそうだ。外資系企業の人員削減や退職金に不満を持つ労働者が、幹部を夜通し監禁するという事件がここ1カ月相次いでいるためだ。

 建設機械大手の米キャタピラーでは3月31日、幹部4人がフランス南東部のグルノーブル郊外にある工場に一晩監禁された。労働者側は、会社が人員削減交渉の再開の求めに応じ、サルコジ大統領が「工場を閉鎖から守る」と発言してようやく、幹部らを解放した。米化学大手の3Mでも3月25日、フランス支社の工業部門長が監禁される事件が発生。会社が退職金交渉の再開に合意した後に解放された。同社は医薬品を製造するピチビエ工場の従業員235人中、110人の人員削減を計画している。3月12日にはソニー・フランスの社長が、退職金や磁気テープ製造工場の閉鎖に対し不満を持つ労働者によって、一晩監禁された。工場閉鎖では311人の失業が見込まれていた。

 同国で2番目の規模を持つ仏労働総同盟(CGT)の代表、パトリック・ベルナール氏は「労働者が幹部らを軟禁する事態は今後も続くだろう」と言う。リストラに対する「労働者の最初の反応として、経営幹部らを閉じ込めることで、戦略は成功している。幹部らは洗面用具を職場に持参した方がよさそうだ」と語った。

 サルコジ大統領が労使対立の収拾を図るため積極的に関与していることもあって、労働者らの苦境に政府の注意を向ける確実な方法となっている。フランスは第二次大戦後最も深刻な景気後退に直面する見通しでOECD(経済協力開発機構)は同国の失業率が現在の8.2%から年内に約10%に上昇すると予想する。

 パリに拠点を置く上級労働研究所のベルナール・ヴィヴィエ所長によると、こうした行為が地域的な労働組合のリーダーによって扇動され、労働組合の全階層にわたる合意でないことが多いというのが実体だ。同所長は「労働者は、組合も政府もこの金融危機をコントロールできていないと感じている。外資系企業幹部の監禁は、国外で下される決定に対し労働者らが感じているいらだちや無力感の表れ」と解説した。

 工場占拠の波は、1960年代末から70年代にもフランスのほか、イタリアやドイツで発生したことがある。しかし「それらは政治的な階級闘争の一端だった。今の動きは切羽詰まったもので、仕事を失い、その地域で新しい職につける見込みはほとんどない人々によるもの」と、政府系の労働研究センターに勤めるリサーチャー、ジャン・ミシェル・ドニ氏は指摘した。(Gregory Viscusi)

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