抵抗する労働者たち

【今、何が問題なのか】2009/03/27 01:43更新


記事本文 フランスの米系企業で不況に伴う解雇の補償をめぐる交渉がこじれ、工場内で社長が“監禁”される事態となった。フランスでこの種の“社長監禁”は今月、ソニーに次いで2件目。企業の工場閉鎖、生産縮小を受け、世界中で労使がせめぎ合っている。途上国では予告なしの工場閉鎖も珍しくない。きょうのテーマは「抵抗する労働者たち」とした。


GM、欧州3工場閉鎖も
 パリからの報道によると、米化学大手スリーエム(3M)はフランスでの生産縮小を決定。パリ南郊のピティビエ工場では、235人いる従業員のうち110人を解雇することにし、リュック・ルセレ3Mフランス社長が労働組合と補償交渉を行っていた。しかし、両者は合意点を見いだせないまま、24日夕、ルセレ社長が工場の一室に“監禁”された。

 ■社長監禁

 組合側は「3Mが補償内容を改善すると約束するまで、ルセレ社長はここにいることになる」と表明した。“事件”にしたければ、警察を呼んでも構わないとしているが、3M側は「警察突入」誘導は組合側の戦術だとみて動かない。ルセレ社長はトイレに出た際、報道陣に「こうなることは予想できた。私は大丈夫だ」と語った。

 フランスでは今月12日、南西部ポントンクスシュルラドゥールにあるソニー工場でも、フランス法人社長と人事部長が“監禁”された。この工場は4月の閉鎖が決まり、社長らは解雇する300人余りの従業員と補償交渉を行っていたが、話がまとまらなかった。2人は翌日、交渉継続を条件に解放された。



 19日には、サルコジ政権の景気対策への不満を背景にフランス全土でゼネストが行われ、交通機関がマヒするなどした。主要労組の呼びかけによるゼネストは1月29日に続き、今年2回目だ。25日には、フランスでの大幅生産縮小を決めた独タイヤ大手、コンチネンタルのタイヤがパリで燃やされ、黒煙を上げた。フランスの労働者は、政府に企業に怒りの声を上げている。

 
■設備売却

 カンボジアでは、縫製工場の閉鎖が相次いでいる。ロイター通信によると、この不況で、プノンペンと近郊の291の工場のうち、すでに20の工場が閉鎖された。現在、縫製工場の稼働率はよくて70%。7万人が職を失い、10万人が失業の不安にさらされているという。

 内戦が終結した1990年代初頭から、台湾、中国、韓国、マレーシアなどの資本が進出し、縫製業はカンボジア最大の輸出産業に育った。だが、製品の輸出先の70%を占める米国での需要が激減した。縫製工場の従業員には地方出身の女性が多く、失業すれば、仕送りが途絶えることになる。

 「元の(貧しい)暮らしに戻る」という人が多いが、ここでも労働者の抵抗が見られた。工場閉鎖は突然、通告され、給料未払いとなるケースが多い。閉鎖されたマレーシア系の工場では、元従業員らによって、縫製機械が運び出されていた。機械を売り払い、その金で給料分を得るのだという。

  報告書の中で、日本を含む8カ国について失業保険の給付を受けていない失業者の割合が示されている。日本が77%と突出しているのだが、米国、カナダ(いずれも57%)などと比べて、欧州諸国は低い。英国が40%、フランスが18%、ドイツは13%だ。労働者が日ごろから、声高に主張を述べているせいなのか。“社長監禁”は行き過ぎとしても、フランス人のパワーには見習うべきところがある。(内畠嗣雅(うちはた・つぐまさ))/SANKEI EXPRESS

記:
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