爆発したロウソク民心…深い苦悩に陥る労働界

爆発したロウソク民心…深い苦悩に陥る労働界
市民と通じ合う労働運動を考えるとき

毎日労働ニュース08年6月5日付

 「このかん労働者は個別的にはロウソクデモに出ています。そんな中、先月(5月)31日のロウソク行動で警察によって市民が踏みつけにされる場面を見ました。それで労組も『これはじっとしてはいられない』と考えるようになったのでしょう。けれども労組がどのようにロウソク集会に参加するのかをめぐって今も悩んでいます」(民主労総傘下連盟のある幹部)
 ソウル光化門一帯でロウソク行動と街頭デモが連日続けられている。市民のスローガンも「告示撤回・交渉無効」から「イミョンバクは退陣せよ」に変った。ロウソク集会に参加する市民は、米国産牛肉の輸入を強行する政府に対する怒りを、今や「反政府闘争」へとつなげている。
 去る3日、光化門一帯で開かれたロウソク集会には民主労総が初めて組織的に参加した。参加者数はほぼ500名。それも執行部中心だった。イソッケン民主労総委員長は、「実際今日のこの場に我が同志たちがあふれていなければならないが、核心幹部のみの参加のようだ」と語った。イ委員長は「ゼネストができなければ民主労総はどこまでも後退するだろう」と強調した。イ委員長は、幼い少年・少女たちが警察の盾と放水に立ち向かっているのに、民主労総は何をしているのかと自己批判した。
 だが、労働界が牛肉問題を利用して対政府闘争をやろうとしているとする一部の主張に対しては断固たる主張を展開した。イ委員長は、「闘いは以前から準備してきたもので、むしろそうした誤解を買うかと思って自制してきた」とし、「だが、国民の80%以上が反対しているものを大統領と政府が強行するのであれば、非難を甘受してでも闘わざるをえない」と述べた。
 民主労総をはじめとする労働界がロウソク集会に初めて組織的に参加すること対し市民の反応は、「歓呼」と「残念」、そして「懸念」に分かれる。この日でロウソク集会参加が3回目の大学生チェヒョンジュンさん(20)は、「子供も年配の方も参加する集会に民主労総まで参加するとなれば、参加人数にかかわらずありがたい」と語った。
 大企業に勤めるイジョンジュンさん(38)は、この日、清渓広場で行われた民主労総主催のロウソク集会を、スーツ姿で傘を差して眺めていた。イさんは10回以上ロウソク集会に参加しているという。イさんは「(民主労総の参加が)遅かった」とし、「80万組合員の民主労総だというのに、参加者規模は情けない水準」と指摘した。
 匿名希望のロウソク集会参加者は、「このかんのロウソク集会では、政治的な色合いや階級意識が徹底して排除されてきたため、労働界の反政府闘争のスローガンは逆に反感を呼びかねない」と懸念した。
 米国産牛肉輸入強行に反対する市民のロウソク集会は、「市民の力」を如実に示した。牛肉輸入を留保する政府決定を引き出したからだ。そんなこともあり、この2日から3日に開かれたロウソク集会は、一方で「祭りの場」だった。
 いずれにしても労働界は、いわゆる「BSE民乱」局面を迎えて本格的な行動に入った。主要観戦ポイントは、労働界と進歩勢力が米国産牛肉反対の世論を公共部門民営化や公的教育放棄への批判世論へとどう昇華させるかという点だ。

 「運動圏」なき反政府集会、労働課は消極的参加?

 政府と保守メディアは、米国産牛肉輸入反対ロウソク集会をめぐって「背後勢力」を主張し、市民は「自発的参加」だと反論している。こうした中、キムスンギョ弁護士(民主社会に向けた弁護士会)が、ロウソク行動で連行された人について意味ある分析を行っている。キム弁護士は、連行された市民に対する法律支援活動を行っている。
 キム弁護士は、3日に自身のホームページに掲載した「ロウソク連行者接見結果照会」という文章を通して、警察の連行が開始された5月24日から6月2日までに連行された市民544名のうち38名と接見したと明らかにした。キム弁護士はその中で、青瓦台前で連座ろう城を行って連行された全農所属の農民10名をのぞいた28名の職業群を分析している。
 28名の職業は、大学院生・大学生・米国留学生・公共機関職員・マスコミ関係・建築設計士・自営業者・美容師・中華料理店コック長・映画演出スタッフ・日雇い労働者・会社員・信仰共同体生活者・高校受験生・大学受験生・無職などだった。キム弁護士は、「運動団体や社会団体に所属して活動する人は誰もいなかった」と主張する。
 キム弁護士はさらに「前科が全くない人が大多数で、警察署に初めて来た人も多かった」とし、「にもかかわらず、取り調べの際、『釈放されたらまた参加するか』との警察の問いに『また参加する』と堂々と答えた人が少なくなかった」と述べている。キム弁護士のこうした分析は、いわゆる「ロウソク背後論」がでたらめな攻撃であることをあらためて立証する証拠と言える。労働界や進歩勢力がこのかんロウソク集会にいかに消極的に参加してきたかを反証するものとも解釈できる。(オジェヒョン記者)

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 労働界、「輸入・流通・販売、全て阻止する」

 米国産牛肉の告示撤回と再交渉要求が強まる中、労働界もそれなりに声を上げ始めている。民主労総は全国14の牛肉保管倉庫に対する出荷阻止闘争を計画している。いったん長官告示の官報掲載が2日に留保されたため、計画を延期している状態だ。韓国労総も、態度表明に慎重を期しながらも、2日の警察の強硬鎮圧を批判し、再交渉を求める声明を発表した。
 2大労総に所属する産別連盟も声を上げている。運送を担う貨物連帯は、全組合員に米国産牛肉運送拒否の指針をおろした。鉄道労組は、冷凍コンテナの運送を阻止することを決めた。販売を担うサービス連盟は、百貨店や大型スーパーで米国産牛肉が販売されないよう経営陣に要求した。労働界が運送から流通・販売まで直接立ちあがって米国産牛肉を阻むというものだ。
 産別交渉を通して米国産牛肉の問題を解決しようという動きも出てきた。金属労組と金属産業使用者協議会は5月27日、中央交渉の場で、事業場の構内食堂でBSE牛肉を使用しないという共同宣言を発表した。金属労連は5月22日、定期代議員大会の場で米国産牛肉の全面再交渉を求める決議文を採択し、米国産牛肉の搬入を拒否する団体協約改定に臨むことを決めた。
 金属労連は韓国労総傘下の連盟の中ではじめて米国産牛肉の輸入に関する組織的な行動を宣言した。また、金融産業労組は、米国産牛肉輸入業者に対する融資を禁止する案を、今年の賃金・団体協約交渉の場で特別案件として提出する計画だ。事務金融連盟は来たる9日、「牛肉輸入反対に向けた事務金融労働者不服従の日」行動を行う。
 保健医療産業使用者協議会と産別中央交渉を行っている保健医療労組は、「患者食に米国産牛肉を使わない労使協約」の締結を要求しているが、使用者側は留保的な立場を示している。労組はこれとは別途に5月26日、緑色病院など9つの病院との間で、米国産牛肉を使わないことで合意したと明らかにした。
 公務員労組の組織的な声も目立っている。全国公務員労働組合は2日、「行政不服従運動」を宣言し、米国産牛肉広報指針を拒否すると表明した。米国産牛肉の広報業務を指示する自治団体長を相手に、地域住民と共に住民召喚運動をも行うという具体的な行動案を打ち出した。牛肉関連の主務部処〔省庁〕である農林水産食品部の場合、イジン・民主公務員労組農林水産食品部支部長が先月27日、個人名で声明を出し、政府に対し無期限告示延期と再交渉を求めている。
 このように各労組が、できる範囲で多様な取り組みを打ち出している。最近では、牛肉交渉問題を越えてイミョンバク政府の国政運営全般を問題にすべきとの指摘が出されている。労働界が軽油値上げや公共部門民営化など民生問題を解決するために市民の力を今後もどう引き出せるか考えるべき時に来ている。
 ユンチュノ公共運輸連盟宣伝局長は、「民主労総のように大衆的に組織された団体が真っ先に牛肉問題を引き出すべきだったが、そうできなかった面があった」とし、「すでに市民も石油価格の問題や公営企業私有化問題の深刻さを認識していることから、社会進歩に向けて発足した総連盟の目標どおり、組織された力を市民の力と結合すべき時」だと語った。(チョヒョンミ記者)

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「苦悩と通じ合う共感を引き出そう」

 労働界が米国産牛肉輸入反対闘争に乗り出したことに対し、市民は暖かい視線を送っている。代表的な組織が運輸労組だ。運輸労組は5月2日、BSEの疑いがある米国産牛肉の「船積み船舶の入港阻止・輸送拒否闘争」を決議している。最近ロウソク集会のために清渓川広場に集まった市民は、「運輸ちゃん」を連呼している。運輸労組のホームページには支持が殺到し、何度もダウンしたほどだ。
 運輸労組に続いて公共労組、病院労組、全教組、公務員労組、金融労組などもBSE牛肉反対闘争に続々合流している。公務員労組もイミョンバク不信任総投票と不服従運動を開始した。
 とは言え、最近労働界に注がれている支持が、果たして労働運動に対する支持なのかは、労働界内部でも立場が分かれる。ウムンスク民主労総広報担当は「韓米FTA・二極化社会解消・非正規職問題などを解決するため努力してきた労働界に対する支持」だと述べた。イミョンバク政府の経済再生が市場独裁につながったため、労働界が提起してきた問題が大衆の支持と共感を得ているという。
 キムテヒョン民主労総政策室長も「これまでの労働運動は大衆と通じ合っていなかったが、これからは財閥本位の政策を推進した政府が一般国民の共同闘争の対象となった」と分析する。キム室長は「今度の集会を通して、労組が提起した問題が国民的な関心と一致し、通じ合えるものと期待している」とし、「最近の支持は公共部門民営化反対闘争へと自然に結びつく」と展望した。
 民主労総関係者は「いまや集会現場は、米国産牛肉輸入反対を越えてイミョンバク政府の新自由主義的政策の撤回を要求している」と述べた。ロウソク集会が、牛肉輸入反対を越えて社会公共性の強化と新自由主義反対へとつながっていているという。
 韓国労総の関係者は、最近労働界に注がれる支持について「労働者が具体的な手段を利用して米国産輸入阻止に立ち、国民の溜飲を下げたおかげ」だと述べた。パクヨンサム韓国労総広報担当は「国民の支持なき労働界の闘争だけでは、政策の変化をもたらすことは難しい」とし、「公共部門の民営化によってもたらされた変化に対し、十分に説得すれば国民的共感を得られる」と強調した。
 だが労働界のこうしたバラ色の分析は性急な判断だとする指摘もある
。公共部門の民営化阻止闘争が、早くも国民の間に共感を形成しはじめているという労働界の意見とは異なり、専門家の評価は冷静だ。イビョンフン中央大教授は「これまでメシのための闘争に歪曲されてきた労働界の闘いが、今回は国民の議題に結合するものだったから支持を得ることができた」と述べた。労働界が米国産牛肉輸入反対についてだけは国民感情を読んだというのだ。
 今や残る課題は、公共部門民営化反対闘争においてもどれほど国民の共感を得られるかということだ。イ教授は「まだ公共部門私有化に対する国民的共感は不足しているようだ」とし、「労働界が、公共性が破壊されたときにもたらされる影響を国民に十分に説得・宣伝し、労働運動だけの問題ではなく、国民と通じ合い、呼吸する社会的影響力をつくらなければならない」と強調した。(パクイニ記者)


 

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