相対的貧困率2位の日本2お待ち受けているもの

斎藤貴男「二極化・格差社会の真相」】

2006年7月24日 掲載
相対的貧困率2位の日本2お待ち受けているもの


 日本の相対的貧困率は13.5%で、先進国ではアメリカの13.7%に次ぐ貧困大国になっていた! OECD(経済協力開発機構)がこのほど公表した「対日経済審査報告書」が、衝撃的な実態を明らかにしている。
 相対的貧困率とは、所得から税金などを差し引いた可処分所得が分布の中央値の半分に満たない家計の割合を示す指標のことだ。米日に続くのはアイルランド(11.9%)、イタリア(11.5%)の順で、調査できた17カ国の中では3.8%のチェコが最も低かった。
 報告書は、貧困層の拡大が著しい日本経済のあり方に懸念を表明。正規雇用と非正規雇用とに二極化されていく労働市場の改善を求めたほか、特に片親世帯の貧困が深刻化した点を挙げ、低所得者向けの教育制度を充実させるなど階層間の格差が固定化されない施策が急務だと強調している。
 驚くべきことに、OECDのデータは2000年時点のものだった。調査と分析の間のタイムラグがあるのである。社会的弱者への差別をそのまま政策化した構造改革を徹底した小泉政権の誕生は翌01年。現状はどうなっているのかと思うと、背筋が寒くなる。
 貧困層がアメリカ並みの厚みになってしまった現実は極めて重い。戦争で手柄を立てなければ浮かび上がることができない若者たちの命が、あの侵略帝国の覇権を支えてきた。歴代大統領は彼らを物言わぬ消耗品と位置づけ、中産階級以上の不人気を招きかねない徴兵制を回避してきたのである(ベトナム戦争の一時期を除く)。
 小泉首相の構造改革、格差拡大戦略は、アメリカ社会を理想のモデルとしている。だとすれば、貧しい家庭の子どもたちを待ち受けている運命は明白だ。東京大学の苅谷剛彦教授(教育社会学)はある学会で「格差と表現するからわからなくなる。“inequality”(不平等)以外の英訳が見当たらないのが目下の日本社会だ」と報告していた。
 折しも福田康夫・元官房長官が自民党総裁選での出馬を断念し、米国の傀儡(かいらい)というか、植民地の酋長のような安倍晋三官房長官の圧倒的優位が伝えられている。
 このままでは最低最悪の世の中がやってくる。

▼斎藤貴男(さいとう・たかお) 1958年生まれ。早大卒。イギリス・バーミンガム大学で修士号(国際学MA)取得。日本工業新聞、プレジデント、週刊文春の記者などを経てフリーに。「機会不平等」「『非国民』のすすめ」「安心のファシズム」など著書多数。

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