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zoom RSS 分割・民営化と外注化で JR北海道“安全の崩壊”

<<   作成日時 : 2013/08/19 11:35   >>

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今年だけで7件の重大事故
 
 この間のJR北海道での事故は異常を通り越している。エンジンや配電盤が次々と火を噴き、ATSの部品まで燃損している。
 特に特急北斗14号が床上から出火し、200人が車外に避難した7月6日の事故は、2011年の石勝線トンネル内特急炎上事故に匹敵する重大事故だ。走行中にエンジンが爆発し10aの穴が空いて火を噴いたのである。スライジングブロックという燃料噴射装置内の部品が折損し、大量の燃料がシリンダー内に注入されたのが原因であった。
 だが問題は、全く同様のスライジング折損事故が、昨年の9月、今年3月、4月に立て続けに起こっていることである。通常は破損することなどなく、検査の対象にもなっていない部品であり、それが三度も折れるなど考えられないことだ。
 事故を起こしたエンジンは、25年前に製造されたものであり、その列車が130q/hで運転され続けたのである。激発する事故は、車両が限界を超える使われ方をしてきた結果だとしか考えられない。JR北海道は同型エンジンの北斗とサロベツの運行をさしあたり8月末まで止めているという。
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人命を預かる企業なのに…
 
 JR北海道は、2011年5月に石勝線トンネル内で起きた特急脱線炎上事故をうけて、10年間で約1300億円の投資を盛り込んだ安全基本計画を策定したが、事故は減るどころか激増している。12年度は189件で10年度の91件の倍以上で過去20年で最多。そのうち約100件を車両故障が占めている。
 「出火した後も特急が緊急停止しないで走行を続けたケースがあったことが気になる。一歩間違えれば大惨事。人命を預かる企業なのに、ギリギリのところまで来ていると感じた」(北海学園大の上浦正樹教授=鉄道工学)《東京新聞7月18日》。

航空線との競争
 
 そもそも、一連の事故の根本的な原因は、国鉄分割・民営化そのものである。JR北海道は、経営が成りたつ条件などないことは初めからわかった上で分割・民営化された。だから、民営化に際しては、幹線以外は全部廃線にした上で、莫大な「経営安定基金」が積まれ、その運用益でなんとかしろというペテン的な方法がとられたのである。
 JR北海道がまず直面したのは、道内の都市間を結ぶ航空線との競争に打ち勝つことであった。だから、他のJR会社では考えられないような徹底したスピードアップと特急列車の増発が強行された。
 1987年のJR北海道発足時点の特急列車は1日78本で、列車設定キロは2万904q、最高速度120q/hであった。現在の特急列車は1日148本、列車設定キロは3万1894qまで増加し、最高速度は130q/h以上の列車が134本だ。
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限界超えたスピードアップ

 気動車が130q/h運転するという方針は、こうした背景の中からでてきたもだ。しかも、最高速度を上げただけではなく、曲線速度も上げて、到達時間を短縮するために、気動車を振子式にするということがおこなわれた。それは、「技術的には無理」と言われていたものであった。
 無茶な速度アップこそが、一連の事故の背後にある最大の原因である。札幌―釧路間の特急「おおぞら」を例にとると、国鉄時代は4時間30分かかっていたものが現在では3時間40分にまで短縮した。
 しかし「速度を落とせば負担が減り、事故も減るだろうが、バスや自家用車との競合があるため、遅くすることはできない」《東京新聞7/16》。これが民営化の結果生み出されたJR北海道の現実なのだ。

新幹線並の走行距離

 さらに、広大な北海道の場合、一継続の走行距離が長い。たとえば、石勝線トンネル内で火災を起こした特急「スーパーおおぞら」が走る札幌〜釧路間の営業キロは348.5キロメートルあり、東京〜名古屋間にほぼ匹敵する。
 そうした条件のもとで、最高速度や制限速度を何時間も、ギリギリ出し続けるような運転が行われるのである。それが車両や運転士に、深刻な負担を強いていることは間違いない。

極端なメンテ切り捨て 

 しかも、北海道の気象条件は厳しい。本来なら車両や線路のメンテナンス体制は、他のJR会社以上に要員やコストを投入しなければ成りたたない。だが現実は、民営化し利益を上げることが最優先課題となった状況の下で、他のJR会社と比べ一番極端な形でメンテナンス部門の外注化や要員削減が強行されたのがJR北海道であった。
 さらに言えば、そうした現実にさらに拍車をかけたのが国交省による車両検査周期等の規制緩和であった。

診察も検査もせず、 いきなり手術」

北海道新聞(7・17)は、「鉄路の安全どこへ」「進む外注化」と題した記事のなかで次のように指摘している。

 「長く技術畑で過ごし、現場を離れて久しいJR幹部は近年、車両整備工場でのやり方を聞くたび胸を痛めていたという。
 車両の定期点検では、それぞれパーツの分解などは下請け業者が担当し、本社の整備部門の担当者が準備された部位を点検し、組み立てる流れ。 幹部は、分解など油で手を最も汚す仕事をしてこそ問題点が見える、として『今のやり方は医者が診察も検査もせず、いきなり手術をするようなものだ』と言う」。

検査体制が完全に崩壊

 また、深刻な事態の調査に乗り出した会計検査院は、2011年度、JR北海道が実施した車両検査について、延べ約3100回の車両検査のうち、約3割で車両検査規則が守られていない「手抜きが検査」が行われていたことを指摘しているだ。


 2011年の5月に起きた石勝線特急脱線炎上事故に関する運輸安全委員会(事故調)の報告書も恐るべき現実を報告している。
車輪踏面が40pに及び剥離していたというのだ。車輪がボロボロ→車体が激しく振動→推進軸が落下→燃料タンクなどが損傷→炎上。これが運輸安全委員会が描いた事故原因だ。

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(※報告書は、気動車の振子化は技術的に無理があるという、より本質的問題を隠してしまっているが、その点については今回は省略する。この点に関しては、2011年6月13日付けの日刊動労千葉7151号を参照)

  だが問題は「40pに及ぶ剥離」 は、ごく普通の定期検査さえ行われれば、そんな酷い状態になる前に100%発見できることだ。一定の剥離やフラット(平面摩耗)、直摩(※)が認められたら転削するというのは、車両メンテナンスのイロハのイである。
(※曲線を走行することによりフランジ角度が直角近くになること。脱線の危険がある)
 否、それ以前に、ごく普通に車両管理が行われていれば、40p剥離など起こりようがないことだ。検査体制が完全に崩壊してしまっているとしか考えようのない現実だ。
  保線なども全く同じ現実だという。07年末には、線路の破断が起きる可能性のある亀裂が3300個所もあることが判明し(北海道新聞07年12・27付)、「保線体制の強化」が叫ばれた。しかし、その後も列車の高速化に伴い線路の傷みはひどくなり、レール破断等が相次いでいるのだ。

技術継承が断絶

 検査体制だけの問題ではない。一方での大量退職と他方でのメンテナンス業務の全面的外注化によって、技術継承が断絶してしまっているのだ。
 会社発足時に1万3000人だった社員数が、現在7267人。この現実が示しているのは、ベテランの労働者が大量退職する一方で、新たな技術者の採用―育成がほとんど行われていないということである。おそらく現場のみならず、管理部門にすら、車両や保線、信号などの技術的問題を熟知した技術者はいなくなっていると考えて間違いない。

無責任の連鎖

 こうした現実の中で、丸投げ的な外注化が強行されていく。だが外注先だって技術力などもっていない。その結果起きているのは、誰も責任を取ることができない無責任の連鎖蔓延である。ボーイング787が、次々に火を噴いた事故と全く同じ構造だ。
この間のJR北海道の記者会見を見ると、そのことがよくわかる。本社幹部は、現場でどのようなメンテナンスが行われているのか全く何ひとつ把握すらできていないのだ。しかもJRの場合、恐ろしいのは、技術力を持った最後の層が、今まさに大量退職期を迎えていることである。

闘わなければ自らも
乗客の命も守れない


 国鉄分割・民営化と、その後の外注化は、「安全の崩壊」をもたらした。このままでは取り返しのつかない大惨事に至ることは明らかだ。
現場の労働者はいつ大事故が起きるかとおびえながら、自分も死と隣り合わせで働いている。JR総連はもとより国労本部も、「事故弾劾」も「合理化反対」も口にしない。こんなものは労働組合ではない。「闘いなくして安全なし」。闘わなければ自らも乗客の命も守れない。明日はわが身だ。今こそすべての職場で反合理化・運転保安確立の闘いを巻き起こそう。

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