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zoom RSS JR 鉄道事業を子会社に丸投げ、安全も丸投げでM&A

<<   作成日時 : 2010/01/31 09:09   >>

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JR東、高級スーパー「紀ノ国屋」買収へ
 JR東日本は26日、首都圏で高級スーパーを展開する紀ノ国屋(東京都)を買収すると発表した。


 JR東日本がスーパーに本格進出するのは初めてで、駅ビルなどに積極展開する。

 JR東日本は、紀ノ国屋グループ3社を合併させたうえで、創業家などから全株式を4月1日付で買い取る。買収額は非公表。

 紀ノ国屋は1910年創業の老舗で、客が商品を手にとって選ぶ「セルフサービス方式」というスーパーの基本スタイルを53年に日本で初めて導入した。輸入食品などを豊富に取り扱い、首都圏に17店舗がある。

 少子高齢化で運賃収入の落ち込みが予測されるため、JR東日本は2017年度までに運輸以外の分野で売上高の4割を稼ぐ体制づくりを目指す。主要駅構内の「駅ナカ」と呼ばれる商業施設などに紀ノ国屋を出店し、コンビニエンスストア「ニューデイズ」などとともに通勤客の需要を取り込む構えだ。

(2010年1月26日19時31分 読売新聞)


紀ノ國屋、100年目の決断、JR東日本の傘下へ!
   食品スーパーマーケット、紀ノ国屋の創業は何と明治43年(1910年)、今から100年前である。その100年後、2010年1月26日、JR東日本が「東日本旅客鉄道株式会社による株式会社紀ノ國屋グループの株式取得について」という文書を公開した。その内容は、本日(1/26)、東日本旅客鉄道鰍ェ葛Iノ國屋グループの株式を取得することについて合意したという内容であり、JR東日本による紀ノ國屋へのM&Aである。時期は4/1、その方法は、「葛Iノ國屋グループを現株主の下で合併した上で、合併新会社の発行済株式の全てを東日本旅客鉄道鰍ェ主要株主から取得いたします。」とのことで、紀ノ國屋の全株式をJR東日本が取得するという、資本・業務提携ではなく、吸収合併である。

   現在、紀ノ國屋は3つのグループに分かれている。1つ目が中核会社の葛Iノ國屋、13店舗の食品スーパーマーケットを展開し、年商138.12億円である。単純計算で1店舗10.62億円となる。2つ目がパンの3店舗を中心に、1工場をもつ葛Iノ国屋フードセンター、年商42.76億円、そして、3つ目が1店舗、1工場をもつ、国の文字が1つ目の國と違う葛Iノ国屋、年商25.65億円である。合計206.53億円となる。今回のJR東日本のM&Aは、この3つのグループをひとつに合併し、その合併した新会社の全株式をJR東日本が取得し、吸収合併するというもので、結果、パンの店舗を入れ、17店舗、2工場がJR東日本の傘下に入ることになる。

   では、その後、JR東日本はどのような政策を打ち出すのかであるが、今回の紀ノ國屋のM&A後については、大きく2つの目標を掲げている。ひとつは、「駅及びその駅を中心とした開発」、「既存事業の強化・ブラッシュアップを図る」ということであり、既存店の活性化に加え、新たに、駅中への小型店舗での出店といえよう。そして、もうひとつは、「地域活性化に資する新たな事業展開が可能」とのことで、双方の強みを生かした新規事業の展開である。また、その背景には、JR東日本が「2017 年度までに運輸業以外の営業収益を全営業収益の4割程度までに引き上げる」ことを目標としており、その具体的な政策として、「具体的には首都圏を中心にエキナカ、駅ビル等の開発を積極的に進めるとともに、地域の活性化に資する地方エリアにおける事業開発」を掲げていることである。この目標を具現化する上において、紀ノ國屋を吸収合併することが必要と判断したものといえよう。
   JR東日本の発表はここまでであるが、1/29、日経MJに気になる記事が掲載された。「紀ノ国屋誤算重なる、JRの傘下に」、「基幹店の賃料負担重く」という見出しの記事である。この記事を読むと、3つの誤算があったとのことである。ひとつ目は基幹店の重い賃料負担、ふたつ目が不況、そして3つ目が出店戦略の誤算であったという。

   ひとつ目の基幹店の重い賃料であるが、これは、紀ノ国屋インターナショナルが2008年11月に改装オープンしているが、もともととはこの土地約1,650平米は自社のものであったが、有利子負債約75億円の圧縮のために2003年に売却したため、新規オープンは複合商業施設AOビルの地下1階へのテナントとして入店することになったという。この家賃負担が予想以上に固定費として、重くのしかかったという。ふたつ目は、不況、特に、リーマンショック後の消費環境の激変は高級スーパーの価格帯を直撃、他の高級スーパーと比べても高めな価格設定が固定客以外に敬遠されたという。そして、3つ目であるが、基幹店の不振を補うべく立ちあげた小型店舗の出店が思うように進まなかったとのことである。表参道に出店したOMOは約75平米で、1日約180万円売れる店舗とのことで、この業態が今後の紀ノ国屋を担う戦略店舗であったというが、その成長戦略を自力で描くことが難しくなったという。

   日経MJの記事を読む限りでは、小型店以外の通常の店舗面積の食品スーパーマーケットを都心の一等地で家賃を負担しながら営業するのは経営的には極めて厳しいことがわかる。この記事を読む限り、都心の一等地での食品スーパーマーケットは、小型店以外には成り立たないといえよう。しかも、紀ノ国屋のOMOは1日約180万円の売上げであり、これは年間6.5億円となる。したがって、店舗面積が75平米(22.7坪)で計算すると、坪売上げ、年間2,863万円であり、これはオオゼキの約2倍という途方もない数字である。ここまで坪売上が必要かはともかく、かなり高い数字でなければ成立が難しいのが、都心部での食品スーパーマーケット事業といえよう。

   紀ノ国屋インターナショナルが自社物件での営業を継続できていれば、今回JR東日本へ買収されることもなかったかもしれない。ただ、2003年に自社物件の土地を手放さざるをえないほど、負債が膨らみ、この時点で経営バランスが崩れていたともいえ、経営上、ギリギリの判断が必要であっと思われる。

   それにしても、食品スーパーマーケットの経営は土地、建物、敷金保証金等の出店関連の資産の管理が経営の根幹にかかわることであり、紀ノ国屋の今回の件は、まさに、この問題が問われたといえる。この資産と負債、そして、純資産との経営バランスをいかにとるか、すなわち、出店余力が、食品スーパーマーケット経営の根幹ともいえ、今回のJR東日本の紀ノ国屋へのM&Aは、まさに、このバランスが極めて重要であることが改めて浮かび上がったといえよう。


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