「想定外のミス。原因解明が終わるまでこの工法による工事はすべて中断する」――。24日、東京都新宿区大久保のJR埼京線・湘南新宿ライン新大久保―高田馬場駅間で電車が緊急停止したトラブルは、工事の影響で線路が隆起して湾曲したのが原因だった。最大で約5センチ。JR東日本は「走行に危険はない」と強調するが、一部の識者は脱線の危険を指摘する。JR福知山線脱線事故から25日で1年を迎えるのを前に、同社幹部はショックを隠しきれなかった。 JRによると、線路下の都道を3倍に拡幅する工事を実施中で、その影響で線路が浮き上がったとみられる。現場付近は線路下の盛り土部分をエレメントと呼ばれる角型鋼管(縦85センチ×横117センチ)で盛り土部分を貫通させ、土砂を除去後にコンクリートを流し込む工法で工事を進めていた。 線路が隆起したのはコンクリート注入時の圧力異変で、工事用部材が上に押し上げられたらしい。この工法はJR東日本が開発、工期が短縮できることから現在28個所の工事現場で導入されている。 工事は同日午前8時半から24日10時半までの約2時間かけて約40立方メートルの流動性の高いコンクリートを注入したが、終了間際に角型鋼管から65〜90センチ上にあるJRの4線路が長さ約25メートルにわたって最大5センチ隆起していた。 同社は、(1)25メートルの距離で緩やかに隆起している(2)急激な隆起はなかった(3)電車速度が50キロ程度と比較的遅かった――などから危険性はなかったという。しかし、JRは、異変のメカニズムが解明されるまでこの工法の工事を一時中断することを決めた。 松浦章夫・芝浦工業大教授(鉄道・橋梁工学専攻)は、「実際の状況は見ていないが、25メートルの範囲で最大5センチはすぐに脱線にはならない」と指摘。そのうえで、「直線のレールならば、最大5センチでは、車両は浮かない。しかし車重は軽くなり、乗客は相当な揺れを感じることになる」と強調した。一方で、斎藤雅男さん(国連鉄道工学専門家、旧国鉄運転車両部長)は、「高田馬場駅近くの現場周辺は平地で、線路も高低差ゼロでが原則として設計されている。線路は精密に計算されており、ミリ単位の高低差でも最大4、5ミリまでが走行可能」とし、「現場付近は時速50キロほどで走行でき、最大5センチの盛り上がりは脱線の危険が非常に高く、考えられない大きさの変形だ」と指摘する。 JRの安全対策の必要性が改めて重要視されている。 (毎日新聞) - 4月24日23時26分更新 |
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